中国デジタル人民元の大規模実証実験で2万件の取引

中国デジタル人民元の大規模実証実験で2万件の取引

中国デジタル人民元の大規模実証実験で2万件の取引

中国江蘇省東南部に位置し、上海の西側に隣接する蘇州(ソシュウ)市で実施されたデジタル人民元を用いた大規模な実証実験で、約2万件に上る取引が行われたことが報じられた。

計3億円に上る2万件の取引

中国メディアのGlobal Times(環球時報)によると、本実証実験ではeコマース大手JD.comのプラットフォームでのオンライン決済も行われ、11日から24時間で約2万件もの取引が行われたという。

今回の大規模な実証実験を行うにあたり、事前受付と抽選の上蘇州市民約10万人に対し200元(約3,100円)を配布、計2,000万元(約3億1千万円)が費やされた。

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デジタル人民元配布による運用実験が行われたのは、10月広東省深圳(シンセン)市で行われたものに続き2例目となる。

深圳で行われた実験では、47,000人以上の市民により計880万元が使用された。

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これらの実験について、中国の中央銀行である中国人民銀行(PBC)によるデジタル人民元プロモーションのモデル化であるとの見方が強く、本格的な実装に向け着々と開発が進められているものと思われる。

各国のデジタル通貨導入に向けた動き

米国では中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が10月19日、デジタルドルの実現性について、最先端で研究していく旨発言した。

これは中国が他国に先行してデジタル人民元導入に向けた動きがあることが背景にあると見られていれるが、同時に「デジタル通貨の潜在的な利点だけでなくリスクを注視している。」とも述べており、リスクと課題の見極めを優先させる意向を表明している。

また、ヨーロッパ各国でも導入に向けた実験や開発が進められているが、同様に金融システム全体への影響や、安全性を重視した慎重姿勢が多く見られている。

 

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