米SEC委員長候補ゲンスラー氏、無料株取引アプリ調査取り組みへ

米SEC委員長候補ゲンスラー氏、無料株取引アプリ調査取り組みへ

米SEC委員長候補ゲンスラー氏、無料株取引アプリ調査取り組みへ

3日、米証券取引委員会(SEC)委員長候補のゲーリー・ゲンスラー元米商品先物取引委員会(CFTC)委員長は昨日、米議会上院の公聴会に出席し、個人投資家やヘッジファンドの売買でゲームストップ株が乱高下した問題を巡り、市場構造や無料株取引アプリの調査に取り組むことを約束したことが、日本経済新聞の取材で明らかになった。

SNS時代の規制手探り、米ゲームストップ株問題

同氏は昨今の暗号資産(仮想通貨)の取引についても投資家保護に課題があると述べた。バイデン大統領がSEC委員長に指名したゲンスラー氏と、米消費者金融保護局(CFPB)の局長に指名した前米連邦取引委員会(FTC)委員、ロヒト・チョプラ氏は同日、議会上院「銀行委員会」主催の公聴会に出席した。

今後、上院の承認を経て米金融規制・監督当局トップに就任する。今年1月下旬に発生した「ゲームストップ株」問題についての発言に注目が集まっていた。2005年に創設され今では月間利用者数は4億人を超えるアメリカ版の5ちゃんねるともいわれるオンライン掲示板「Reddit(レディット)」上で個人投資家が結託し、ゲームストップ株などヘッジファンドの空売り銘柄に買いを入れ、株価急騰を招いた。

中でも「ウォールストリート・ベッツ(WSB)」と呼ばれる人気フォーラムがあり多くの個人投資家が集う。個人の利用が多いスマホ専業証券ロビンフッド・マーケッツは一部銘柄の買い注文受付を停止し、乱高下の一因となった。一部の個人による株価操作疑惑や、ヘッジファンドによる大量の空売り、ロビンフッドの経営姿勢などが昨今論点になっている。

ゲンスラー氏、「ゲームストップ株乱高下は新しいテクノロジーがもたらした問題」

ゲームストップ株を取り巻く乱高下についてゲンスラー氏は、新しいテクノロジーがもたらした問題との認識を示し、ロビンフッドを念頭に「取引を頻繁にさせるように促す無料アプリの影響を調査する必要がある」と指摘したほか、個人の注文を超高速取引業者に回送してリベートを得る慣行についても調査を約束した。

取引が過熱気味の仮想通貨業界にも言及した。ゲンスラー氏はCFTC委員長退任後、デジタル通貨やブロックチェーン技術の専門家として、大学の教壇に立っていた。仮想通貨が決済などで新しい考え方を金融の世界にもたらしたと評価する一方、「投資家保護の面でも取り組むべき問題が明らかになっている」と述べ、新たなルール導入に意欲を示した。

 

関連:米仮想通貨取引所CoinbaseCEOが米国の仮想通貨規制について言及

関連:米証券取引委員会とロビンフッド「近すぎる関係」