米証券取引委員会とロビンフッド「近すぎる関係」

米証券取引委員会とロビンフッド「近すぎる関係」

米証券取引委員会とロビンフッド「近すぎる関係」

11日、米証券取引委員会(SEC)と2020年の米株式市場で個人投資家の存在感を一躍高めた売買手数料ゼロで株式やビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)を取引可能なスマホ用アプリ「Robinhood(ロビンフッド)」を提供する米フィンテック新興企業との「近すぎる関係」に市場がざわついてることを、日本経済新聞が報じた

SEC委員長ジェイ・クレイトン氏不参加、異例の審判について

「SECの複数の委員がロビンフッドを告発するかどうかを決める審判を欠席していた」。

この告発は、ロビンフッドが顧客の注文を超高速取引業者(HFT)に回送している事実の開示を怠り、顧客に逸失利益が発生したというものだ。

20年12月17日のSECの開示資料によれば、最終委員会では委員5人中、欠席した2人を除く全員が告発を認め、ロビンフッドは課徴金6500万ドル(約67億円)の支払いで和解した。

ここで終われば、よくある課徴金事例だ。しかし、見逃せない疑惑が浮かび上がった。SECとロビンフッドの人的な結びつきの強さだ。

欠席したのは当時の委員長で年末に任期途中で退任したジェイ・クレイトン氏とエラド・ロイスマン委員(現委員長代行)。SECの開示資料によれば12月に諮られた107の案件中、委員長が不参加(Not Participating)だったのはロビンフッドのみ。いかに異例の審判だったかが分かる。

米ダウ工業株30種平均、史上最大の「下ヒゲ」は大天井のシグナル!?

バイデン次期政権下でSECは市場に対し、透明性や公平性により厳格になる可能性が高いが、仮想通貨業界の受け止めはやや異なる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)や米政治資金監視団体センター・フォー・レスポンシブ・ポリティクスによれば、バイデン陣営への寄付額のトップはマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長だが、2位は仮想通貨のデリバティブ(派生商品)取引所FTXの最高経営責任者(CEO)のサム・バンクマン・フリード氏だ。

仮想通貨業界には「有力な支援者をむげにはできないだろう」という読みが広がっている。クレイトン氏退任後、SEC委員長代行に昇格したロイスマン氏も暗号資産に親和的とされ最近のビットコインの急騰を演出している。だが、民主党左派が株式市場同様、仮想通貨をマネーゲームの温床と目の敵にすれば、そうした思惑は雲散霧消しかねない。

米ダウ工業株30種平均の20年の年間チャートは、ローソク足分析でいう「下ヒゲ(20年のケースは寄り付きと安値の価格差)」が1万276ドルと歴代断トツの長さを記録した。下値での買い意欲の強さを示すが、大天井を示す「首つり線」にもみえる。めったに見ることのない異形のチャートは投機マネーに波乱到来が近づいていることを予感させる。

 

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