BitGrailはすべての入出金を停止し、BitGrail創業者でCEOのFrancesco “The Bomber” Firano氏は早々に、Nano保有ユーザーに対し100%の払い戻しは不可能とTwitterで通知しました。Nano以外の仮想通貨に関しては被害は発生してないようです。
世界大手の仮想通貨取引所Binanceでは、上場させる通貨を利用者の投票によって決める仕組みがありますが、今回ご紹介するNano(ナノ/NANO)は2018年1月に行われた人気投票において1位を獲得しています。
もともとNanoはRaiBlocksという名前で開発されていました。しかし、「発音しづらい」「もっと名前がシンプルなほうがいい」といった理由で、2018年1月31日にNanoという名前にリブランディングされました。その新しいロゴとなる「N」の文字は、ノードを意味します。
その後、2018年2月2日にBinanceへ上場、同月11日にはイタリアの取引所BitGrailでハッキングされ約211億円相当が流出という経歴もあり、短い期間で波瀾万丈なイメージをもつ仮想通貨です。
この記事では、そのNano(ナノ/NANO)の詳細や特徴・将来性について詳しくご紹介致します。
NANOの最新価格・相場・チャート・評価
Nano(ナノ/NANO)のとは
Nanoは、ビットコインの課題であった「送金スピードの遅さ」や「送金手数料の高さ」、「大量の電力を消費する仕組み」を解決するために開発されました。
これらを実現するために「DAG(有向非巡回グラフ)」と呼ばれる技術を活用し、手数料の無料化や、高速に送金する事が可能となりました。
また、Nanoの総発行枚数133,248,290枚はすでに発行済みであり、今後マイニングして新しく発行されることはありません。したがって消費電力が少なくて済むのです。
前述しましたが、Nanoは、RaiBlocksからリブランディングした理由に名称が「発音しづらい」「名前がシンプルなほうがいい」というのがありましたが、プロジェクト自体のシンプルさやスピードを表す事も理由の1つに挙げており、このことから特に「速さ」を重視していることがわかります。
高性能さより、シンプルさや使いやすさに重点を置いた仮想通貨であり、仮想通貨に馴染みのない人でも使いやすい仕組みになっています。
Nano(ナノ/NANO)の詳細
通貨単位 NANO
総発行量 133,248,290NANO
承認方式 DPoS(Delegated Proof of Stake)
公開日 2016年2月29日(当初はRaiBlocks)
Nano(ナノ/NANO)の特徴
DAG(有向非巡回グラフ)により、手数料が無料・スケーラビリティ・高速送金を実現
Nanoの最大の特徴とも言える「手数料が無料」・「スケーラビリティ」・「高速送金」を実現するのは、DAG(有向非巡回グラフ)という技術によるものです。
Nanoは、それぞれのアカウントに独自のブロックチェーンを置くことによる網目構造が採用されています。
トランザクションは、各アカウントのチェーンとして、アカウントの所有者が更新します。
これにより、ほかのネットワークの部分とは、非同期で、即時的に更新されるアカウントチェーンが実現できます。
具体的に送金の時は、送信側と受信側のそれぞれのアカウントの所有者が署名したブロックによりトランザクションが成立します。
このようなDAG技術により、マイニングなどのコストが必要なくなり、手数料が無料となるわけです。
また、この独自のDAGが、スケーラビリティの確保を可能にし、送金速度がリップルよりも高速になるとされています。
そして、もし仮に二重支払いのような問題のある取引が疑われた場合は、そのブロックをDPoS(delegated Proof of Stake)というシステムで承認するか否か決定します。
これは、ある一人の代表を選出(Delegate)し、その人に承認の可否をゆだねるというシステムで、この承認者に選出されるためには、より多くのNANOを持っている必要があります。たくさん保有すればするほど有利になります。
また、このDAG技術を採用している仮想通貨をDAG通貨と呼びます。DAG通貨でも最も有名な仮想通貨にIOTA(アイオタ/IOTA)が挙げられます。
バグや脆弱性も発見すると報酬「Nano Bug Bounty Program」
コードのバグや脆弱性を発見した人に報酬が払われるNano Bug Bounty Programというものを開催しており、コミュニティを巻き込みながらパフォーマンスだけでなく安全性も高める姿勢があります。
その報酬金額は、セキュリティの重要度に応じて250ドル(約2万7千円)~5千ドル(約55万円)となっています。
ハッキングされ約211億円相当の被害
NanoはBinanceヘの上場も果たし、その後も順風満帆な価格高騰を続けると予想されていました。
しかし2018年2月11日に、イタリアの取引所BitGrailから約211億円相当のNANOがハッキングされ、盗難被害に遭うという事件が起きました。被害額はNANO全体の10%以上の金額であったためこの事件によるダメージは非常に大きく、Nanoはその後大きく価格を下げてしまいました。
Nano(ナノ/NANO)の将来性
Nanoは、Binance投票で1位となったこと、BitGrailでの盗難事件など様々な側面から注目された仮想通貨ではありますが、一番の注目は最大の特徴でもあるDAG技術を採用している点でしょう。
しかし、DAG技術を取り入れている仮想通貨は他にも存在し、その代表的な存在がIOTAです。
IOTAはIoT(モノとインターネットを繋げる事)に最適化された仮想通貨であり、Nanoとはその理念が違いますが、やはり同じ技術を使用している以上、ライバルになることは間違いありません。
また、同じような低料金、高速送金を謳うリップルよりも料金が安く、高速で送金できますが、リップルが流動性を高める取り組みに対する熱量に比べ、流動性の低下が懸念されるコンセンサスアルゴリズムであるPoSに似たDPoSを採用している事など、流動性が高まるかは不明点もあります。
DAG技術はブロックチェーンに比べ歴史が浅いため、まだ攻撃への耐性などが十分にわかっておらず検証が必要ですが、それが良い方向に転がると好材料となります。
さらに開発の発展や流出事件の嫌なイメージが払拭されれば、今の地位よりも上がることが期待されます。
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