車用半導体サプライチェーン管理の仕組みづくり、ブロックチェーン技術活用本格化へ

車用半導体サプライチェーン管理の仕組みづくり、ブロックチェーン技術活用本格化へ

車用半導体サプライチェーン管理の仕組みづくり、ブロックチェーン技術活用本格化へ

11日、電動化やつながる車などの「CASE」と呼ぶ技術で自動車に使う半導体が急増するなか、その供給網(サプライチェーン)を管理する仕組みづくりの本格化を、日本経済新聞が報じた

ホンダなど約100社・団体が加盟する国際団体と、米インテルなど半導体関連の約2千社の国際団体が連携し、ブロックチェーン(分散型台帳)を使い、生産や流通履歴を正確に確認できるようにする。

モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアチブ、SEMIと供給網管理の連携へ

ホンダやゼネラル・モーターズ(GM)などが参加する「モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアチブ(モビ)」と、半導体関連企業の国際団体のSEMIがそれぞれ開発中の供給網管理の仕組みを数年をめどに連携させる。

半導体以外の部品も含め、自動車製造・流通の上流から下流までの履歴を追跡できるようにする。電気自動車(EV)の普及などで1台の車が搭載する半導体は増えている。

大手会計事務所のKPMGによると、車載半導体市場は2040年までに2千億ドル(約20兆円)と、20年の4.4倍に拡大する可能性がある。半導体や電子部品の製造プロセスは国際的な分業が進み、企業が単独で全体像を把握するのが難しい。米製半導体の偽造品の流通総額は年75億ドルに達するとの調査もある。

ブロックチェーン技術、半導体業界の偽造品流通削減やサプライチェーン再編へ

新型コロナウイルスによる供給網の寸断の影響を軽減させようと各社が在庫を確保したところ、品質の悪い偽造品が紛れ込むといった事例もあったという。ブロックチェーンはネット上の複数のコンピューターが取引の記録を共有し、互いに監視しながら記録を蓄積する。

データの書き換えは事実上不可能で、改ざんリスクが小さいとされる。具体的には、製品や半導体製造装置に2次元バーコードなどのラベルを貼り付けることを想定。ラベルを各工程で読み取り、製品がどこに出荷され、どの製造装置で加工されたかなどを記録する。

企業はシステムにアクセスし、正しい部品が納入されているか確認できる。不具合が発生した場合、その部品の製造工程をたどりやすくなる。従来は完成車メーカーなどが流通経路や製造履歴を個別に確認しなければならず、原因究明に時間がかかっていた

それぞれの部品を作る際の温暖化ガスの排出量を記録することも検討している。完成車1台あたりの排出量の把握につながる。部品の生産地も確かめやすくなり、自由貿易協定(FTA)での関税軽減を受けるのに必要な車の原産地証明などの書類が作りやすくなるほか、サプライチェーンの再編も進めやすくなる。

 

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