TIS、佐久間町で再生可能エネルギーを活用したEVによるMaaS実証実験実施へ

TIS、佐久間町で再生可能エネルギーを活用したEVによるMaaS実証実験実施へ

TIS、佐久間町で再生可能エネルギーを活用したEVによるMaaS実証実験実施へ

総合ITサービス企業としてグローバルに展開するTIS株式会社が、静岡県の佐久間町で再生可能エネルギーを活用したEV(電気自動車)によるMaaS(Mobility as a Service)プラットフォームを提供する実証実験を実施することを発表した

この実証実験は、2020年9月16日から12月18日に実施し、過疎地域における交通の利便性の向上および運用業務の合理化、再生可能エネルギーの地産地消を目指し、佐久間町に設置した太陽光パネルの電力などを利用したEVでのタクシーを運行するという。

高齢化、過疎化による公共交通事業などの撤退

高齢化、過疎化が進む佐久間町では、65歳以上の人口が60.5%と高い割合となっており、公共交通事業者や民間タクシー事業者は採算が合わず廃止、撤退が相次いでいる。

これにより地域住民の移動手段は不十分な状況であるため、2007年より「NPO法人がんばらまいか佐久間」は浜松市と連携して公共交通空白地有償運送事業を運営している。

しかし利用者は減少する一方であり、事業の採算性の悪化や人材不足などといった課題が山積しているのが現状だ。

このような課題解決を目指して同実証実験では、TISが提供するMaaSプラットフォームを公共交通空白地有償運送事業に導入する。

TISは、2019年8月北海道厚沢部町にて株式会社INDETAILと行った過疎地域の次世代交通およびエネルギー問題の解決を目指した実証実験「ISOU PROJECT」で使用したMaaSプラットフォームを改良し、今回の実証実験で使用するタクシーのオンデマンド配車システムを提供する。

出典:TIS株式会社

最短3ステップでタクシーの呼び出しが可能

実証実験は、予約や配車をCTI(音声自動応答電話)によるオンデマンド乗車予約によって、高齢者の利用を容易にし、電話での利用が困難な耳の不自由な方向けに「浜松佐久間MaaSかんたんアプリ(仮称)」の提供を予定しており、過疎地域の高齢者などが利用しやすい環境を整えるという。

カード会員

厚沢部町で行われた実証実験の利用者の声を踏まえ、最短3ステップでの利用が可能となった。

カード会員専用の窓口に電話を掛け、音声ガイダンスに従って呼び出し地点、希望時間帯をプッシュホンで入力することでタクシーを呼び出すことができる。

アプリ会員

アプリ会員はスマートフォンに専用アプリをダウンロードし、現在地、目的地を指定することで簡単にタクシーを呼び出すことができる。

いずれ方法も至ってシンプルで、誰でも簡単に利用できるよう設計されている。

TISは、MaaSプラットフォームやEV、スマートフォン向けのアプリやICカード、地域通貨発券端末などを無償で貸し出し提供し、佐久間町の既存のEV充電スタンドや太陽光パネルなどを活用したエネルギーの地産地消に向けた検証、検討を行うという。

「ISOU PROJECT」

ISOU PROJECTは、自然環境に配慮しながら、地域の社会インフラ自立によって「自治体自身が自走する」持続可能な社会を創造するための支援プロジェクトとして、「生活の持続」「エネルギーの持続」「環境の持続」を3本柱として、最新テクノロジーを活用し、エネルギーに寄り添うMaaSとエコシステムを 提供する。

2016年から2030年を実施期間としたSDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択され、それぞれの国と社会に目標達成の実現に向けた具体的なアクションが求められている。

日本では2019年6月5日開催の未来投資会議において「ソサエティ5.0」の実現に向けた戦略実行計画素案が公表され具体性のある活動が推進されている。

※ソサエティ5.0とは、日本が提唱する未来社会のコンセプトとして、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな未来社会の実現を目標としたもの。

このような背景からISOU PROJECTは、過疎地域の活性化、超高齢社会における地域交通の提供、エネルギーのあり方の変化に対する課題解決を目指している。

生活の持続

“公共性の高い交通インフラが整った安心した暮らし”
“商店街、病院など生活基盤が衰退しない街づくり”

エネルギーの持続

“地元の再生可能エネルギー源活用などによる地産地消の促進”
“地域電力(新電力)を含めた電源構成の選択権の確立”

環境の持続

“ガソリン車から電気自動車への転換による環境汚染への配慮”
“クリーンエネルギーの積極的な活用によるエコ社会の実現”

これらの目標を実現するため、数十年後の世界ではなく現在の制度、ルールに則り、最新テクノロジーを活用して近未来型の社会づくりの支援に繋げることや、企業主導による新たなサービス提供ではなく、地域住民、自治体が自走、自立できる全員参加型プロジェクトによる環境構築を支援していく。

今後も実証実験を重ね、地域社会の活性化や課題解決のきっかけになることが期待される。