凸版印刷とNICT、公開鍵暗号の技術確立に関する共同研究契約を締結

凸版印刷とNICT、公開鍵暗号の技術確立に関する共同研究契約を締結

凸版印刷とNICT、公開鍵暗号の技術確立に関する共同研究契約を締結

5日、凸版印刷(東京都・文京区)と国立研究開発法人の情報通信研究機構(NICT)は、理論上破られない究極の暗号とされる量子暗号を使ったICカード開発への共同研究契約締結発表した。

2025年の実用化を目指し日本が世界でも先頭集団に位置する技術を使用し、ハッキングなどによる情報流出を防ぎ医療データ用をはじめとする幅広い用途に使用される予定だ。

出典:国立研究開発法人情報通信研究機構

 

サーバー間の通信、量子力学の原理でつくった「鍵」をかけて暗号化へ

ICカードはクレジットカードや交通系の「Suica(スイカ)」など日常生活で使うものに加え、電子カルテの管理といった場面でも使われている。カードを読み取り機にかざすとサーバー上にある決済履歴や診察・投薬データなどを読み取る仕組みだ。

暗号化することで情報漏洩を防いでいる。ただ、米中や日本で開発が進む量子コンピューターの性能が上がると、こういった暗号も解けてしまうことが分かっており、カード関連業界にとっては「事業の存続に関わる」問題となっていくことが予想される。

新たに開発する仕組みでは、情報を複数のサーバーに分けて管理し、仮に個別のサーバーにある情報が読み取られた場合でもそれだけでは意味をなさないようにする。

決済履歴の照会など通常の事業運営では複数のサーバーの情報を組み合わせて使うことにより、サーバー間の通信に、量子力学の原理でつくった「鍵」をかけて暗号化するとのことです。

ICカードに量子暗号、情報保護へ2025年にも

現在の技術では鍵をかけて送れる情報の量や距離に限界があるため、25年までに事業に使える水準まで改善する計画が予定されているとのこと。

量子暗号は日本が強みとしている分野で、東芝やNECなどが多くの特許を握るり、今回は両社とNICTが共同開発した専用機器を使って通信に鍵をかける。

凸版によると、量子暗号技術を使ったICカードを実用化した例は世界でもないという。

現在の仕組みに比べてICカードシステムを運用するコストは上がる見通しであり、量子コンピューターは開発競争が加速している状況にある。

幅広い分野の研究開発などに役立つ半面、暗号を破ることにも使えるため、重要な情報を守る技術開発が課題となっている。

インドの調査会社マーケッツアンドマーケッツによると、ICカードの世界市場は18年時点で142億ドル(約1.6兆円)だった。23年には215億ドル(約2.4兆円)に拡大する見通しだ。

 

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