Segwit(セグウィット)とは?|仕組み・メリット・デメリット 基本解説

Segwit(セグウィット)とは?|仕組み・メリット・デメリット 基本解説

今、COINBOXをご覧になって頂いている方の中にも仮想通貨の取引や情報収集を行っていると、Segwit(セグウィット)という言葉を一度は聞いた事があるかもしれません。しかし、実際にどのようなものか理解している方は少ないのではないでしょうか。

プログラマーでもない限り、詳しく知る必要までありませんが、仮想通貨の価格に大きな影響を与えるものですから、どのようなものか基本的な仕組みは知っておきましょう。

この記事では、Segwit(セグウィット)の仕組みやメリット・デメリットなどを詳しくご紹介していきます。

セグウィット(Segwit)とは?

Segwit(セグウィット)とは、「Segregated Witness」の略で、ブロックチェーン上に記録される取引データ(トランザクション)のサイズを圧縮する方法のことです。

取引データが圧縮されることで、1ブロックあたりに記録される取引データの量が増加し、速やかな取引処理が実現します。また、取引データの改ざんへの対策にもなります。

その仕組みを少し詳しく説明すると、トランザクションに含まれる電子署名(Script Sig)をウィットネス(Witness)と呼ばれる別の領域に格納することで、トランザクションのデータ量を少なくします。最終的に、電子署名はコインベース・トランザクションと呼ばれる各ブロックの初めにある特別なトランザクションに保存されます。

そのセグウィットを導入している仮想通貨には、2017年4月には、国産通貨であるモナコイン(MONA)が世界で初めてセグウィットを導入しました。そして、2017年5月にLitecoin(LTC)が、2017年8月にBitcoin(BTC)がセグウィットを実装しています。

セグウィット(Segwit)のメリット

スケーラビリティ問題を解決する

スケーラビリティー問題とは、取引量の増加によって「手数料の高騰」や「取引の遅延」が起こる事を言います。セグウィットを導入すれば、トランザクションのデータ量を圧縮し、より多くの取引を処理できるようになる為、スケーラビリティー問題への解決策として期待できます。ビットコインのブロックサイズは「1MB」ですが、セグウィットを導入することによって実質「1.7MB」まで拡張します。

マリアビリティ問題を解決する

マリアビリティ問題とは、悪意のあるユーザーが取引データを改ざんし、二重取引ができてしまうという脆弱性のことで、トランザクション展性とも呼びます。

トランザクション(取引データ)には、アウトプットインプットというものがあります。そして、そのアウトプットとインプットをハッシュ化したものを、「トランザクションID」と呼びます。

インプットの中に含まれる電子署名「scriptSig」は、取引内容を変更せずに書き換えることが可能な仕様になっています。そのscriptSigを外部から書き換えられるとこのトランザクションIDが変化する事ができてしまうという問題です

もし外部からトランザクションIDが変更されると、2重送信が多発してしまったり、データの整合性が取れなくなり、改ざんされた取引が承認されてないかのように見せかける事が出来てしまいます。

セグウィットを導入すると、トランザクションIDの計算に使われるデータが、取引データ本体とは別の場所(Witness)で管理されるようになるので、外部からトランザクションIDを変更する事ができなくなります。つまり、マリアビリティ問題を解決することになります。

ライトニングネットワークの導入が可能になる

ライトニングネットワークとは、ブロックチェーン外(オフチェーン)で構築されている決済ネットワークの事で、導入により少額決済が可能になる、送金スピードの向上、手数料が安くなるといったメリットがあります。

従来の通貨ではトランザクション展性の問題があった為、ライトニングネットワークの導入がで不可能でしたが、セグウィットを実装している通貨であればその問題が無くなるので、ライトニングネットワークを導入する事が可能になります。

セグウィット(Segwit)のデメリット

マイニング報酬の減少

セグウィットの導入により処理速度が早くなるので手数料を抑える事ができます。逆に手数料が安くなるという事はマイニング報酬が減るという事なので、マイナーも減少してしまう可能性があります。

将来のユーザー数増加に対応できない

セグウィットを導入した時の理論上の最大容量は4MBとされていますが、実際の平均容量は1.7MB前後と言われています。この先、ユーザーが増加していくにつれ、再びスケーラビリティ問題に直面することが予想されています。

そのような理由から、セグウィットでは将来のユーザー数増加に対応できないと言われています。

一度、実装すると後戻りができない

セグウィットの仕様は非常に複雑で後戻りできず、一度取り込んでしまうと、その通貨のブロックチェーンコードに将来にわたって、この複雑な仕様が残り続けてしまいます。

Segwit2xとは?

Segwit2xとは、セグウィットを実装しているビットコインのブロックサイズを「1MB」から「2MB」に拡大するというアップデートのことです。2MBにまで引き上げてより多くの取り引きを可能にしようとするものです。

ちなみにセグウィットは、「ソフトフォーク」でSegwit2xは、「ハードフォーク」となります。

セグウィット(Segwit)のまとめ

セグウィットは、スケーラビリティ問題やマリアビリティ問題の改善といったビットコインの問題視されていた解決策の1つとして、とても有効的なアップデートです。

しかし、未だ根本的に解決できている訳ではなく、セグウィットのブロックの容量拡大は、将来のユーザー数の増加により対応が困難になる可能性がある事は、引き続き懸念材料として挙げられます。

そこで、セグウィットの実装により、ライトニングネットワークなどのオフチェーンの技術が導入できる点もあるので、飛躍的に取引速度があがり、仮想通貨の利便性の評価があがるのではないでしょうか。

今後、マイクロペイメントへの需要が高まるにつれて、セグウィットを実装する仮想通貨が増える可能性があります。

また、冒頭でもお話しましたが、セグウィット関連の話題は仮想通貨の価格に大きく影響を与えますので、セグウィットをある程度理解しているのとそうでないのでは、運用の仕方も変わってくると思います。

今回の内容が、今後の仮想通貨取引に少しでもお役に立つことができればと思います。