現在デジタル化が加速するなか、巨大企業への富の集中や企業間格差への対応を求める声が強まってきており、様々な協力機関を通じて世界情勢の改善に取り組む必要性が叫ばれている。
1971年に非営利財団として設立された世界経済フォーラムは、スイスのジュネーブに本部を置く独立した公正な機関であり、今回開催される世界経済フォーラムは、世界最高水準の統治機構を有しており、世界的な公益増進のために注力を行っている団体であり、モラルと知的誠実さを行動指針の核として掲げている。
新たなテクノロジー環境としての第四次産業革命
世界経済が疲弊し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの復興と、将来の危機回避を確実なものとするためには、第四次産業革命(4IR)という新たなテクノロジー環境の構築が必須不可欠となってくる。
一方では、急激な社会経済の発展による新しい経済・社会システムの構築により、第四次産業革命は格差がさらに助長されることによる不平等を悪化させる可能性もはらんでいるといえる。
不平等さを回避するために重要なのは、明確な目的のもと管理することであり、最新テクノロジーの導入により、権力の乱用、排除、生計手段の喪失等を増長させることがないよう、積極的に措置を講じる必要がある。
世界経済フォーラムは、このような企業間格差や、テクノロジーそのものに対しての統治機構の必要性などを議論する場所となります。
WEFの第四次産業革命日本センター、須賀千鶴センター長は次のように述べています。
「問題意識は勝ち組企業からも聞こえてきている。例えばセールスフォース・ドットコムのベニオフ最高経営責任者(CEO)は『放っておくと勝ちすぎる』と自らを問題視している米IT大手の経営者の一人だ。デジタル経済ではひと握りのテクノロジー企業がぬれ手で粟(あわ)の急成長をしやすいが、制御する政策手段はほとんどない。かつては独占禁止法だったが、本家の米国でも機能不全が指摘されている。望ましい規制のあり方はまだ誰も答えを出せていない。規制緩和だけでなく、規制の強化・新設も含む『賢い統治』が必要になる。」