警視庁、流出したNEMを他の仮想通貨に交換した疑いで31人摘発

警視庁、流出したNEMを他の仮想通貨に交換した疑いで31人摘発

警視庁、流出したNEMを他の仮想通貨に交換した疑いで31人摘発

22日、マネックスグループの完全子会社であり暗号資産(仮想通貨)交換事業者「コインチェック」から3年前の1月に約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した事件で、本日までに警視庁は計約188億円分のNEMの不正交換に応じたとして、計31人を組織犯罪処罰法違反容疑で摘発したことを、日本経済新聞が報じた

コインチェックNEM流出事件、北朝鮮ハッカー集団関与か!?

警視庁によると、同庁が逮捕・書類送検した31人は北海道や東京都など13都道府県に住む20~40代の日本人の男。最大で約67億円相当を交換していた。

31人の交換額は総額で188億円相当となり、コインチェックから流出した額の3割にとどまる。残りは大半が海外に流出しており、交換者が特定できなかったケースが多いという。

今回逮捕された6人のうち2人は、警視庁が20年3月に逮捕した30~40代の医師や会社役員。当時のレートで計約30億円分を不正に交換したとして同4月に起訴された。

流出事件では、何者かが同社のシステムに不正アクセスしてNEMを外部に送金。匿名性の高い闇サイト群「ダークウェブ」上に交換サイトを開設し、約580億円相当を相場より15%安いレートでほかの仮想通貨との交換を持ちかけた。

一般的にダークウェブを使ったサイバー犯罪捜査は難航する場合が多い。19年に国連がまとめた報告書は、コインチェックの事件の攻撃グループについて北朝鮮のハッカー集団の関与を示唆した。

サイバー犯罪では海外からのアクセスも容易で、国家を背景とした攻撃についても指摘されることが多い。技術が高く手口も巧妙なため、捜査の壁になっているとみられる。

FATF(金融活動作業部会)、マネロン対策で「トラベルルール」導入へ

交換事業者と介することなく取引された仮想通貨は、所有者や受け取り手を特定するのは極めて困難だ。一般的な通貨と比べ匿名性が非常に高く、マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されるケースも多いのが現状だ。

マネロン対策を海外に先駆け日本でも進め、金融庁はコインチェックなどで不正流出が頻発したこともあり、利用者の本人確認を義務化するなどの規制強化のために、2017年には交換事業者の登録制を導入した背景がある。

ただ海外では交換事業者利用などの際に本人確認が義務化されてなかったり、通常の通貨と簡単に交換できるATMが設置されていたりする。仮想通貨は海外送金も容易なため、日本の対策だけでは限界もある。

マネロン対策などを検討する政府間機関であるFATF(金融活動作業部会)は19年に仮想通貨の送金者と受取人の情報をそれぞれの交換事業者が受け渡す「トラベルルール」を導入するよう勧告。不透明な取引を防ぐ国際的な対策の枠組み作りを急いでいる。

 

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