暗号資産売買で利用される無料通信アプリ「テレグラム」、犯罪利用事例数が増加

暗号資産売買で利用される無料通信アプリ「テレグラム」、犯罪利用事例数が増加

暗号資産売買で利用される無料通信アプリ「テレグラム」、犯罪利用事例数が増加

13日、ロシア発の無料通信アプリ「テレグラム」が犯罪に悪用される事例が相次いでいることが、日本経済新聞の取材で明らかになった

テレグラムは、高い匿名性やセキュリティ、そして高速通信や広告の非表示でチャット機能に特化したコミュニケーションツールです。

日本人に馴染みの深いアプリで例を挙げるなら、LINEのようなものでしょう。仮想通貨コミュニティの間でもテレグラムはよく使われている。

その一方で、犯罪グループは送信したメッセージの暗号化や自動消去機能など秘匿性の高さなどの特徴を悪用し、連絡や薬物売買の交渉に使っているという。

 無料通信アプリ「テレグラム」とは

無料通信アプリ「テレグラム」とは、ロシアで最も有名なSNSであるVKontakte の創業者である、パーベル・ドュロフ氏が開発した無料メッセンジャーアプリで、通信速度が速く、多人数が参加できるグループチャット機能があるため、暗号資産(仮想通貨)の売買などで利用されてきた。

高い秘匿性を特徴としており、プライバシー保護に重点を置いていることでも有名であり、時間の経過によりアプリ内での会話内容が自動で消去され、また通信内容が暗号化されるためメッセージの内容を外部から解読される危険性も低いという。

テレグラムの運営会社のホームページでは、官公庁や企業など第三者から利用者のやりとりやデータが閲覧されないようプライバシー保護を重視すると説明している。

月間4億人の利用があり、現在の運営拠点は中東のドバイ。ロシアでは規制がかけられたため、ドイツや英国、シンガポールなどを転々としてきたという。

 犯罪に使われる「テレグラム」の内容

2020年1月に大阪市東淀川区の民家に押し入り、暴行を加えて現金40万円などを奪った事件が発生し、この犯罪で強盗致傷容疑により逮捕された実行役の少年(当時19)は、「外部にばれにくいと思ってテレグラムを使った」と供述したという。

この事件では18~22歳の少年や男ら計5人が逮捕され、このうち3人がテレグラムでやりとりをしていたとみられ、まず最初にTwitterなどの外部SNSにて犯罪実行役を募集する短文投稿を行い、その後の連絡はテレグラムを使うよう指示していた。

また、高齢女性からキャッシュカードをだましとったとして詐欺容疑で5月に逮捕した女(21)も、テレグラムをダウンロードするよう詐欺グループの上層部から命じられていたという。

テレグラムはプライバシー保護に重きを置いており、捜査機関が情報の公開を求めても決して応じず、時間の経過により消去されてしまったメッセージの復元をすることは困難であるため、捜査は難航する傾向があるとのことです。

神戸大大学院の森井昌克教授(情報通信工学)は次のように注意を呼びかけている。

「連絡手段にテレグラムの利用を指示する場合は違法なことをしようとしている可能性が高い。犯罪集団が背後に絡んでいると疑って、利用しないようにすべきだ」