欧州中央銀行総裁、デジタル通貨導入について言及 コロナ禍で高まる需要

欧州中央銀行総裁、デジタル通貨導入について言及 コロナ禍で高まる需要

欧州中央銀行総裁、デジタル通貨導入について言及 コロナ禍で高まる需要

欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁が、10日行われたドイツ連邦銀行とのオンライン会議のスピーチの中で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)について触れ、今後数週間で導入を検討する公開会議を開催することを公表した。

ヨーロッパでのデジタル化の加速

ラガルド総裁は冒頭で、デジタル化の時代における決済技術の革新により、より簡単で、より速く、より安価な方法での決済が可能となったことに言及。

現在ヨーロッパ人の80%がインターネットを日常的に利用しており、また、新型コロナウイルスのパンデミックも影響し、生活のデジタル化の需要が急激に加速した

このような状況を踏まえた上で、ラガルド総裁は次のように述べ、ユーロ圏の決済システムのデジタル化に積極的な考えを示した。

「今日、私はグローバルな支払い状況を形作っている2つの主要なトレンドに取り組みたいと思います。1つ目は消費者の好みの変化、もう1つはグローバル規模で支払いを支配する競争です。そして、私たちはこれらの傾向の傍観者になる余裕がないと主張します。ユーロシステムはヨーロッパの支払いを強化するためにヨーロッパのイニシアチブを積極的に進めなければなりません。」

ただし、デジタルユーロについては、現金の代わりになるものではなく、あくまで補完的な役割を果たすものであると前置きし、支払ソリューションとして十分に機能することができるかや、中央銀行による金融政策への影響などのリスクについて、タスクフォースの調査結果を今後数週間で一般に公開し、その後、公開協議を開催するとのことだ。

CBDCを巡る各国の情勢

現在中国が積極的に開発を進めているデジタル人民元が、実証実験段階まで進んでいるほか、ヨーロッパ各国でも導入に向けた様々な研究やテストが行われている。

日本国内においても7月、日銀決済機構局が、CBDCの利用をはじめとした、決済システム全体のデジタル化や近代化などについて検討するための「デジタル通貨グループ」新設するなど、議論が進められている。