カナダ中銀「暗号資産市場の急速な進化は、新たな経済的脆弱性」

カナダ中銀「暗号資産市場の急速な進化は、新たな経済的脆弱性」

カナダ中銀「暗号資産市場の急速な進化は、新たな経済的脆弱性」

カナダの中央銀行であるカナダ銀行が、国内金融システムの見直しを行うための年次報告書を公開し、その中で暗号資産(仮想通貨)市場の急速な発展について新たなリスクとなり得るとの見解を示した。

カナダ国内でも広がりつつある暗号資産市場

報告書によると、新型コロナウイルスのパンデミック影響下においても、カナダ国内の金融システムは良好に機能しているとしながらも、いくつかのリスクや脆弱性が認められ、その中で暗号資産についても触れられている。

暗号資産の人気はここ1年間で増加し続けており、時価総額は2020年の初めの約2,000億米ドルから、2021年5月には2兆米ドル以上にまで増加した

カナダ国内においてもデジタル資産を扱うファンドやマイニング企業が増加し、暗号資産の取引や保有がより身近になっているという。

関連:カナダの大手マイニング企業Bitfarms、ナスダック上場へ

法規制など様々な課題も

現在のところ資産クラスとしても支払い手段としてもそれ程定着していない暗号資産だが、Facebookのデジタル通貨プロジェクト「ディエム(旧リブラ)」などの流通を想定したと思われる懸念として次のように述べている。

関連:Facebook、デジタル通貨「Diem(ディエム)」今年後半に試験運用へ

「かなりのユーザーベースを持つ大規模なテクノロジー企業、いわゆるビッグテックが、支払い手段として広く受け入れられるようになった暗号資産を発行することを決定した場合、状況が変わってきます。」

また、暗号資産取引プラットフォームに関連する投資家保護の問題や、マネーロンダリングやテロ資金供与などの違法取引に関する規制について「規制対応は形になりつつありますが、課題は残っています。」としている。

一方で、カナダ銀行は今年2月、コロナ禍で様々なデジタル化が加速する中、CBDC(中央銀行デジタル通貨)発行の決定が早まる可能性についても言及しており、金融や決済システムのデジタル化については前向きな姿勢を示している。

関連:カナダ中銀、コロナ禍でCBDC発行の決定が早まる可能性について言及

関連:カナダで4つ目となるイーサリアムETFがトロント証券取引所に上場