中国、アリババ集団傘下アント・グループのIPO延期を発表!

中国、アリババ集団傘下アント・グループのIPO延期を発表!

中国、アリババ集団傘下アント・グループのIPO延期を発表!

3日、中国のアリババグループの傘下であり利用者10億人超の世界最大スマートフォン決済サービス「支付宝(アリペイ)」運営のアントグループ(蚂蚁)が上海や香港証券取引所で5日に予定していた史上最大の新規株式公開(IPO)が延期になることを日本経済新聞が報じた

延期の背景にはアリババグループの創業者である馬雲(ジャック・マー)氏などが前日に金融当局による聴取を受け上場が認められない可能性があったためということも明らかになった。

今回の新規株式公開(IPO)では世界最大規模の調達予定金額が340億ドル(日本円で約3兆6000億円)になるはずであり、中国国家による発展が著しいフィンテック分野に対し今後も引き締めがより一層強まりそうだ。

上海証券取引所、アント・グループが上場基準を満たさなくなる可能性を指摘

時価総額約29兆円ともいわれているアントグループが提供する「支付宝(アリペイ)」には現在約8000万以上の加盟店があり1年間で決済取引高は約1830兆円にも達している。

そのほかにも短期無担保融資のJiebei、約170社の金融機関の運用商品販売のAnt Fortune、保険なども取り扱う。ブロックチェーンからデータベース管理システムまでの事業展開にも勢いがあり、AntChainのリリースなど世間に話題を振りまいてきた。

急加速する事業展開と規模の背景のなか世界中の投資家が注目するIPOだったことには間違いない。中国人民銀行(中央銀行)などの金融当局がジャック・マー氏をはじめアント・グループの首脳陣への聴取に踏み切ったのである。

そういった背景には金融システムを巡るマー氏の過去の発言があった。マー氏は今年10月下旬の中国・上海市で開かれた講演で「良い技術革新は(当局の)監督を恐れない。ただ、古い方式の監督を恐れる」などと発言していた。

マー氏の発言は影響力があるのはもちろんだが、なにより金融当局の監督手法の遅れに対し不満を示したとの受け止めが多い。

また、アント・グループは上場後の自社株を組み込む投資信託を「支付宝(アリペイ)」で販売しており、株価のつり上げに繋がる可能性があるとして、当局の悪印象を買ったとみられる。

上海証券取引所は当局による聴取を問題視。3日、アント・グループが上場基準を満たさなくなる可能性を指摘した。

アント・グループIPO延期による中国フィンテック企業に立ち込める不安感

中華人民共和国国務院(政府)は10月末に開いた金融安定に関する会議で、イノベーションを奨励すると同時に金融とIT融合のフィンテック企業などを「全面的に監督に組み込む」と表明していた。

さらに銀行、保険の監督当局幹部はメディアへの投稿で、アント・グループのサービスを名指ししたうえで「銀行が提供する金融サービスと本質的な差はない」と指摘。アント・グループ側が高額な手数料を取っており、実質的なコストが高くなり消費者の負担になっていると批判していた。

ただ、アント・グループは過去に銀行が融資できなかった中小・零細企業や個人にまで融資対象を広げ、新たな起業や雇用機会を促し、消費拡大につながってきた功績がある。

アント・グループが関与する与信が2兆元(日本円で約31兆円)を上回る規模にまで膨らんでいるのは、それだけの金融ニーズが眠っていたことを意味する。

アント・グループのような世間を驚かすイノベーション企業の成長機会を阻害すれば、中長期的に中国経済の活力を失わせることになりかねない。ブロックチェーン技術など中国先導でイノベーションを起こしてきた背景があり、今回のアント・グループのIPO延期というニュースは多くの投資家が落胆し多くの起業家や若者にもショックを与えただろう。

中国におけるフィンテック企業による今後の活動に規制などが入ると、イノベーションが起きにくくなるのは必須だ。今後のアント・グループの動向ならびに中国のフィンテック企業が起こすイノベーションに注目していきたい。

 

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