デジタル地域通貨発行拡大、2020年度20超の自治体で導入へ

デジタル地域通貨発行拡大、2020年度20超の自治体で導入へ

デジタル地域通貨発行拡大、2020年度20超の自治体で導入へ

29日、未だ収束の見えない新型コロナウイルスをきっかけに、紙の地域商品券の代替として需要が高まり、今年度には20超の自治体にて地域限定で使えるデジタル通貨の導入を、日本経済新聞が報じた

技術を提供するフィンテック勢の競争が激しくなる一方、定着するまでの課題はなお多いのが現状だ。キャッシュレスの普及に新型コロナの経済対策が重なり、自治体間でにわかに発行ラッシュの様相を呈している。

東京都世田谷区、デジタル地域通貨「せたがやPay」発行へ

東京都世田谷区は来年2月、フィノバレー(東京都・港区)が提供する決済システムを中心とした地域通貨サービスを提供するデジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」の技術を活用し初のデジタル地域通貨「せたがやPay」を発行する。

スマートフォンなどにチャージし、区内の飲食店などでQRコードを読み取ると決済でき、区はチャージ金額の30%相当のポイントを付与する。紙の商品券を発行するには億単位の経費がかかるが、経済産業部の中西成之課長は「経費を大幅に削減できる」と期待を示す。

加盟店にとって専用端末など初期投資がかからないのが特徴だ。同社は岐阜県の飛騨高山地方の「さるぼぼコイン」など2地域でデジタル通貨を発行してきた。デジタル地域通貨は発行地域を限り、1ポイント=1円として使える。地域振興策の一つとして購入額に一定額を上乗せする「プレミアム付き商品券」の電子版としても使える。

デジタル地域通貨がもたらす「期待」と「課題」

 ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」運営のトラストバンク(東京都・目黒区)もデジタル地域通貨事業を拡大する。

当サイトでも先日報じたが、群馬県みなかみ町で電子地域通貨「MINAKAMI HEART Pay(ミナカミハートペイ)」を発行済みで、12月にも同県沼田市で電子地域通貨「tengoo(てんぐー)」を発行予定だ。

デジタル地域通貨の利点は大きく2つある。1つは域外からお金を集めやすくなること。観光客にアプリをダウンロードしてもらい、通貨を使ってもらえば流通金額が増える。2つ目はデータの収集だ。現金決済では把握しきれない購買時間や価格、人出や人気の商品やサービスなどを一元管理できるようになる。

デジタル地域通貨の取り組みが一過性に終わらない工夫も求められる。海外では英国東部のハル市で、新興企業が主導して世界で初めてブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いた地域通貨「ハルコイン」の実験を始めたが、需要が増えず普及していない。

日本では、ソフトバンク傘下の「PayPay(ペイペイ)」などスマホ決済業者が乱立するなか、キャッシュレスだけで利用者を増やすのは難しい。時差通勤やレジ袋辞退に応じてポイントを付けるなどすれば独自性が打ち出せるとの指摘がある。

地域通貨でしか買えないモノやコトをそろえるのも利用を促す手段となりそうだ。ガスや水道、電気代などの支払い手段として認められれば、生活に欠かせない決済手段となる。データを加盟店の販促に生かし、利用者への還元につなげ、流通総額を増やす。好循環をつくるには一過性ではない官民の協働が必要だ。

 

 

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