日銀元幹部:日本での中央銀行デジタル通貨発行はまだ数年先

日銀元幹部:日本での中央銀行デジタル通貨発行はまだ数年先

日銀元幹部:日本での中央銀行デジタル通貨発行はまだ数年先

元・日本銀行 決済機構局長で現フューチャー取締役の山岡浩巳氏が、民間銀行預金からの巨額流出の防止策の必要性などを理由に、日本でのCBDC(中央銀行デジタル通貨)発行がまだ数年先になるとの見解を示したことをロイターが報じた。

民間銀行からの預金流出の懸念

現在国内では、政府による日銀法にデジタル通貨発行に関する規定を加える法改正の準備や、日銀が「デジタル通貨グループ」を新設し、欧州中央銀行(ECB)を含む5つの中央銀行と共同研究を進めるなど準備が進められ、来年には発行に向けた実験を開始する予定となっている。

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デジタル決済の共通決済インフラの開発を進める銀行グループの議長を務める山岡氏は、日銀のCBDC発行により、民間銀行からの大規模な流出を招く危険性を指摘しており、防止策の一つとしてCBDCの発行量に制限を設けることが必要だという。

CBDC発行量抑制による弊害

しかしながら、CBDCの発行量を制限することによりCBDC自体の価値が高まり、個人預金など他の形態の資産への転換につながり、CBDCの支払いや決済の利便性を高めるという役割が損なわれてしまう可能性がある。

これについて山岡氏は次のように述べている。

「基本的な問題であり、非常に難しい問題は、私的預金とCBDCの共存をどのように確保するかです。あなたは私的な預金からお金が急いで出てほしくない。一方で、広く使われていなければ、CBDCを発行しても意味がない。」

他国でのCBDC導入に向けた動きや、国内でのデジタル化の流れが活発化する中、日銀によるCBDC発行に向けた今後の動向に注目したい。