ビットコインをはじめとする仮想通貨にはいくつかの大きな問題があり、そのなかの1つに「スケーラビリティの問題」があります。
このスケーラビリティの問題が発端でビットコインからハードフォーク(分裂)したビットコインキャッシュが誕生したり、Segwitなどの対策がとられたりしていますが、根本的な解決には至っていません。この問題は仮想通貨全体の大きな問題として変わりありません。
そこで今回ご紹介するZilliqa(ジリカ/ZIL)は、このスケーラビリティの問題を解決すべく「シャーディング(Sharding)」と「データフロースマートコントラクト」を用いて取引処理の効率化を図っています。
この記事では、その仮想通貨Zilliqaの詳細や・特徴・将来性について詳しくご紹介します。
ZILの最新価格・相場・チャート・評価
ジリカ(Zillqa/ZIL)とは
ジリカとは、シンガポールの国立大学の研究者らによって立ち上げられ誕生し、2017年8月にホワイトペーパーにより公表され、2018年1月に公開された仮想通貨です。
中国大手仮想通貨取引所Binanceの「The Sixth Session of Community Coin of the Month」にも選出され大きな注目を集めました。
ジリカは、DAppsの運用が可能なパブリックブロックチェーンプラットフォームであります。もともとはERC-20に準拠したトークン「ZIL」を発行していましたが、2019年1月31日にメインネットのローンチをしました。
ジリカメインネットのローンチは、ブロックチェーンにおけるシャーディング技術の最初の実装とされてます。
後述いたしますが、そのシャーディングはビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨も抱えるスケーラビリティの問題を効率的に解決されると期待される技術でトランザクション処理能力の向上を図れるようになっています。
ジリカ(Zillqa/ZIL)の詳細
通貨単位 ZIL
総発行量 126億ZIL
承認方式 PBFT
公開日 2017年8月(ホワイトペーパー)
ジリカ(Zillqa/ZIL)の特徴
ジリカの最大の特徴は「トランザクション速度」が挙げられます。
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、ブロックサイズが小さい事からトランザクション処理に時間がかかってしまうというスケーラビリティの問題を抱えています。
トランザクション処理速度は、「ビットコイン・7件/秒」「リップル・1500件/秒」「VISA・4000~6000件/秒」「ジリカ・2488件/秒(テスト段階)」となっています。
ジリカの2488件/秒はテスト段階の数値と考慮すると驚異的な処理速度がわかります。これはスケーラビリティの問題を極めて起こりづらくしていて、日常決済でも十分に耐えうると言えます。
その処理速度を劇的に向上させているのが、シャーディングです。
処理速度向上「シャーディング(Sharding)」
ジリカは、シャーディング(Sharding)技術を用いてトランザクション速度を劇的に向上しています。
ビットコインやイーサリアムなど仮想通貨は、すべてのノード(コンピュータ)がすべての取引を処理するため、同じ計算を行っています。
その結果、処理が集中する事で、トランザクション速度が低下してしまします。
シャーディングでは、ブロックチェーンネットワークを幾つかのグループ(シャード)に分けて、検証作業を並列化して行う事で作業効率を向上させることができます。
このシャーディング技術は、イーサリアムでも導入予定があり、注目を浴びています。
データフロースマートコントラクト
イーサリアムと言えばスマートコントラクトですが、そのスマートコントラクトは、ブロックチェーン上にアプリケーションを構築する事ができます。
イーサリアムでは、すべてのノード(コンピュータ)が同じ計算を行っています。しかし、ジリカはシャードごとに異なる計算を行っているのでスマートコントラクトが適用できません。
そこで、ジリカは、独自のスマートコントラクト言語「SCILLA」を活用し、アプリケーションに対応できるデータフロースマートコントラクトを開発しました。
このデータフロースマートコントラクトにより、複数の計算を平行して行う事ができるようになり、高い処理速度を実現できます。
コンセンサスアルゴリズム「PBFT」
ジリカは、コンセンサスアルゴリズムに「PBFT」を採用しています。
PBFTとは中央管理者(コアノード)を設定するのが特徴で、中央管理者が効率的に管理するため、処理性能が向上します。特定の人物に権限が集中しないように中央管理者はときどき入れ替わります。
これらにより、取引の正当化を確保しているといえます。
ジリカ(Zillqa/ZIL)の将来性
スマートコントラクト機能を利用するDApps系の仮想通貨は数多く存在しますが、トランザクション処理能力という意味では、ジリカは、頭1つ抜け出している存在といえます。
実用化が認められ、日常でも決済に使用されるようになれば、ジリカの注目はさらに集まることが予想されます。
そして、メインネットの立ち上げにより、ジリカは新しい開発とプロトコルの追加を可能にしています。また、ジリカに期待を寄せる提携企業も多く存在し、そこでイーサリアムのスケーラビリティに不満を抱く開発者にとって、有力な対抗馬となる可能性があります。