東芝が次世代の暗号通信「量子暗号」をアメリカで事業化へ
東芝は盗聴やハッキングなどの情報漏洩が事実上不可能とされる「量子暗号技術」を使った暗号通信サービスを開始することが分かった。
この暗号通信サービスは、2020年9月を目処に米国の金融機関や医療機関向けに開始し、徐々に提供エリアを拡大していく。 東芝は、日本企業で初の量子暗号通信の事業化を手掛けることとなる。
量子暗号通信「Quantum Key Distribution(QKD)」
量子暗号通信は、政府や医療、金融機関などの秘匿性の高い機密情報を安全にやりとりする為の技術として研究開発されている。
解読不可能な暗号化を行うため、暗号化や解読に必要である「鍵」の情報を「光子」という光の粒子に乗せて伝送する仕組みだ。
光子はハッキングなど、外部からの不正なアクセスがあると必ず状態が変化するという量子力学的な性質を利用し、その変化により不正なアクセスを確実に検知することができる。
「量子暗号技術」が量子コンピュータの実用化による脅威への対策
昨今の技術の進歩は加速の一途を辿り、量子コンピュータの実用化が目前に迫っている。
スーパーコンピュータを遥かに凌ぐ解析能力を持つと言われる量子コンピュータが実用化されると、現在使われている暗号は簡単に解読されてしまう可能性があるという。
東芝が研究開発する量子暗号通信は、理論上解読が不可能であるとされ、量子コンピュータ対策として期待されている。
東芝の量子暗号通信技術2つの世界No.1
最先端の研究を続ける東芝は、量子暗号通信の分野で、2つの世界No.1を有しており、量子コンピュータ時代に備え、安心・安全な社会の実現に向けセキュリティ技術の向上を目指している。
1991年にケンブリッジ研究所を設立し、2000年には単一光子検出器の開発に成功した。その後は、長期間の安定運転、鍵配信距離、速度で世界記録を更新し続けている。
量子暗号通信の世界市場は25年に50億ドル(約5500億円)を超えるとみられ、機密情報を扱う、政府、医療、金融などの業界での需要が確実に高まっていくだろう。
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