各国中銀、CBDC導入に向けた実証実験を展開(日銀レビュー)
日本銀行が9日、各国の中央銀行による分散型台帳技術(DLT)を活用した取り組みとして、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入に向けた実証実験が増加している旨のレポートを発表した。
世界各国でCBDCの実証実験が増加
日銀レビューによると、近年、クロスボーダー決済の効率化など、既存決済システムの高度化の機運の高まりや、DLTによる決済システムの性能向上や機能拡張に資する可能性への意識、民間主体によるDLTを活用した新しい決済サービス(JP モルガンチェース銀行のJPM Coin等)のリリースなどを背景として、幅広い国々の中央銀行がホールセール型CBDC実証実験に取り組んでいるという。
出典:日銀レビュー
様々なメリットと今後の留意点
レビューでは、DLT基盤を流通するホールセール型 CBDCのメリットととして、「決済の効率性・安全性が向上する可能性」、「決済システムとしての機能拡張の可能性」、「資金の流通基盤の運営体制の柔軟化の可能性」をあげている一方、ホールセール型CBDCのみが決済の改善方法ではなく、「中央銀行の既存のシステムを改善する」方法と、コスト面・機能面など多面的に比較を行う必要があるとし、次のように締めくくっている。
wCBDC(ホールセール型CBDC)はあくまで、将来のホールセール決済を構成する可能性がある 1 つの要素であり、既存のホールセール決済の改善の動きや、リテール決済も含めた決済の全体像を意識して議論を進めることが重要である。