デジタル経済を支えるデータセンターの効率化、投資家関心も高まりへ
4日、デジタル経済を支えるデータセンターで環境対応に向けた取り組みの加速を、日本経済新聞が報じた。
テック大手が相次いで脱炭素化の目標を掲げるなか、事業運営の基盤であり、世界全体の消費電力量の約1%を占めるとされるデータセンターの効率化は欠かせない。
関連技術の開発が進み、投資家の関心も高まっている。
米マイクロソフトや中国アリババ集団、データセンター活用し消費電力抑制へ
米マイクロソフトは9月、2018年春から2年間にわたってエネルギー効率向上のためサーバーなどの設備をコンテナサイズの容器に収め、水深117フィート(約36メートル)にある「海中データセンター」での実験結果を公表した。
低温の海底での運用はサーバーの冷却に必要な電力の抑制につながり、沿岸部に多い都市部との接続性の高さも利点で、将来は風力発電所と組み合わせての配置もにらむ。
冷却システムはデータセンターの消費電力量のうち2~3割を占めるとされ、サーバーなどIT(情報技術)機器の5~6割に次ぐ。エアコンを使う従来方式に代わる手法の開発が進む。
中国アリババ集団は7月に杭州市で開設した大規模クラウドデータセンターで、特殊な液体冷却剤の中にサーバーを沈める方式を採用し、従来に比べエネルギー消費量を70%以上削減した。
同月に内モンゴル自治区で開設したデータセンターでは冬の冷たい外気を活用した冷却装置を利用し1年のうち約10カ月はこの機器以外による冷却を不要とした。データセンターでの再生可能エネルギーの活用も進んでいる。
専業の米エクイニクスは19年に消費電力の92%を再生可能エネルギーでまかなった。グーグルは30年までに全てのデータセンターとオフィスを24時間365日、二酸化炭素(CO2)を排出しないカーボンフリーで運営することを目指している。
蘭ビットフューリー社、ノルウェーに暗号資産マイニング用データセンター設置へ
オランダのブロックチェーン(分散型台帳)技術大手ビットフューリーは投資会社と共同で、100%再生可能エネルギーで運営する暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)用データセンターをノルウェーに設けた。
仮想通貨の取引記録に協力して報酬を得るマイニングは膨大な計算処理が必要で環境負荷が指摘されてきた。紺野勝弥・日本代表は「マイニング投資の需要が非常に強くなるなかで、再生可能エネルギーをベースとしたマイニングの重要度は今後も高くなる」と話す。
データセンターには需要拡大で投資マネーも入っている。米国ではデータセンターに特化した不動産投資信託(REIT)も上場している。
不動産サービス大手シービーアールイー(CBRE、東京・千代田)の岩間有史アソシエイトディレクターは「環境対応を進めることで投資資金を集めやすくなる」と話す。
昨日日本国内でも菅義偉首相より新型コロナウイルスの感染再拡大を受けた追加経済対策について脱炭素支援へ2兆円基金創設を発表など、世界全体でもこういった動きが加速しそうだ。
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