英スタンダードチャータード銀行が、海上物流のブロックチェーンプラットフォームに参加
英ロンドンに拠点を置くスタンダードチャータード銀行が、IBMとデンマークに拠点を置く大手海運企業Maersk(マースク)が主導する海上物流のためのブロックチェーンベースのプラットフォーム「TradeLens」に参加することを発表した。
貿易プロセスの効率化と情報共有
TradeLensは、コンテナ化された貨物とロジスティックスに特に焦点を当て、世界のサプライチェーンエコシステムを近代化するために開始された。
これまで商品の輸送と取引のプロセスの多くは、手作業と紙ベースのシステムのため非常に効率が悪く高コストであり、TradeLensでは参加者がデジタルで接続することによりこの問題を解決し、リアルタイムでの信頼性の高い情報共有、海運サプライチェーンエコシステム全体でコラボレーションを促進する。
スタンダードチャータード銀行のグローバルトレードヘッドであるMichael Spiegel氏は次のように述べている。
「貿易エコシステムは、複雑なプロセス、所要時間の長さ、紙ベースのマニュアルによる文書化、さまざまな関係者間での不十分な接続性など、何世紀にもわたり貿易金融業界での大きな問題点となっています。
TradeLensとのパートナーシップにより、スタンダードチャータード銀行に信頼性の高いリアルタイム情報を提供して、取引の整合性を検証および保護し、クライアントに迅速かつ安全なサービスを提供します。」
TradeLensの実績と今後期待される効果
TradeLensのプラットフォームでは、IoTデバイスを活用して、温度やコンテナ重量などの物理的側面の情報を管理しており、2018年の発売以来世界中で1500万を超えるコンテナに関する情報を処理している。
TradeLensエコシステムは、100以上の港とターミナル、20以上の海上輸送業者と複合輸送業者、10以上の政府当局を含む150を超えるメンバーで構成されており、今後も協力関係の元グローバルトレードの標準化と自動化の促進を目指している。
現在世界の貿易コストは年間1.8兆ドルと見積もられており、TradeLensは、デジタル化によるプロセスの効率化によって、最大15%(日本円にして約30兆円)もの削減効果があるとしている。
TradeLensのエコシステムはアメリカやヨーロッパ、東南アジアなど普及が進んでおり、今後の発展にも注目したい。