インド最大の港湾事業者がTradeLensと提携、サプライチェーンをデジタル化

インド最大の港湾事業者がTradeLensと提携、サプライチェーンをデジタル化

インド最大の港湾事業者がTradeLensと提携、サプライチェーンをデジタル化

インドの新興財閥アダニグループの傘下で、国内最大の港湾事業者である「Adani Ports(アダニ ポーツ) & SEZ」(APSEZ)が、海上物流のためのブロックチェーンプラットフォーム「TradeLens(トレードレンズ)」と提携したことをBusiness Lineが27日報じた。

TradeLensはIBMとデンマークの大手海運企業Maersk(マースク)が共同開発したブロックチェーンベースのデジタル物流プラットフォームで、今回インド最大の民間商業港ムンドラ港をはじめ、建設中のものを含めたAPSEZが運営する10の港の貨物取扱施設と統合される

新型コロナウイルスによるデジタル化の緊要性

今回のサプライチェーンのデジタル化については、港湾物流業界において、これまで行われてきた膨大な事務処理や、多くの手動でのプロセスが不可欠な現在のサプライチェーンの問題があり、今回の新型コロナウイルスのパンデミックによりその脆弱性が如実に表れ、多くの業界関係者がデジタル化の必要性を強く認識したことを要因としてあげている。

デジタル化によるコスト削減効果

TradeLensとの統合により、手動で時間のかかる管理プロセスがデジタル化され、サプライチェーン全体がより簡易的で、透明性や安全性の高いものにすることを目的としている

荷主、港湾オペレーター、船会社を含むグローバルサプライチェーンエコシステム全体からのデータを統合することにより、大幅なコスト削減が期待される。

コスト管理などのコンサルティングを行うQBISのTTLC(輸送および物流総コスト)調査によると、インド西部のジャワハルラール・ネルー港を利用する輸入業者は年間最大2億2,000万ドル、輸出業者は最大4,000万ドルもの削減が可能で、インド国内全体で計算すると、総削減コストは8億6,000万ドルにも達する可能性があるとのことだ。

TradeLensエコシステムは現在100以上の港やターミナル、海上輸送業者や政府当局など150を超える参加者の他、3月にはスタンダードチャータード銀行が参加を表明しており、今後も海上輸送や港湾物流などの事業者を中心に参加者が増えていくことが予想される。