ブロックチェーンで人に寄り添うテクノロジーイベント、「AI/SUM&TRAN/SUM」開催!
20日、人工知能(AI)と交通・移動技術をテーマに日本経済新聞社が主催するグローバルイベント「アイサム(AI/SUM)&トランザム(TRAN/SUM)with CEATEC」(日本橋三井ホール、日本橋ライフサイエンスハブ)にて、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いたアニメやマンガなどのコンテンツ流通管理を議論するセッションが開かれた。
19日から22日まで開催されたアイサム&トランザムには菅内閣総理大臣や平井デジタル改革・IT担当大臣も登壇した注目度の高いイベントだ。基本コンセプトは「人に寄り添うテクノロジーを追求する」。人々の生活向上に生かされよりよい世界を創り出すことが目的である。
ブロックチェーン活用でクリエイター支援へ
個人がコンテンツの作り手になる時代を、ブロックチェーンがインフラとして支える可能性を探った。
エイベックス子会社のエイベックス・テクノロジーズ(東京・港区)は、投稿者がアバター姿で動画配信する際、生じた収益をアバターやBGMの楽曲の制作者にも配分する仕組みを紹介した。岩永朝陽代表は、次のように述べています。
「ブロックチェーンなら細かな権利も管理でき、若手の個人クリエイターの支援にもつながる」
また、ブロックチェーン企業もコンテンツ分野に商機を探る。ビットフライヤーブロックチェーン(東京・港区)は、日本のアニメをファンが英語に翻訳するとトークン「HON」を付与する。
電子書籍転売による著作権料をブロックチェーン技術で権利者に還元へ
ブロックチェーンベンチャーのTART(東京・品川)は電子書籍を読んだことをブロックチェーンで記録して、中古市場に出品する実証実験を2月まで実施した。
約30人の参加者がアプリ上でコメントを付けながら漫画「ブラックジャックによろしく」の電子書籍を次々と転売し紙書籍中古市場では発生した売り上げは作者に1円も還元されないが、一定割合を権利者に還元するブロックチェーンを活用したユニークな実験である。
こうした実験から課題も浮かび上がり、TARTの高瀬俊明代表は次のように指摘している。
「暗号資産の印象からブロックチェーン技術に不安を感じる出版社もあり、丁寧な説明が必要だ」
フランスなどの一部欧州諸国では、絵画などがオークションで転売されるたび一定の著作権料を還元する追及権が著作権法に定められているが、日本法には定められていないのが現状だ。導入に向けてのハードルは多い。
漫画や動画などの著作権管理にブロックチェーン活用までの道のり
ブロックチェーン上の取引で不具合が生じた場合の扱いや、二次創作の著作権をどう管理するかといった問題は法整備も途上である。本格活用へは課題が残るが、ビットフライヤーブロックチェーン(東京・港区)の加納氏は、
「関係者が多く契約が複雑な著作権管理にブロックチェーンは有用」
と述べ、その期待は大きい。今後もコンテンツやエンターテインメント企業がブロックチェーン技術を試す動きが今後も続きそうだ。
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