JASRACがブロックチェーンを活用した音楽作品管理の実証実験

JASRACがブロックチェーンを活用した音楽作品管理の実証実験

JASRACがブロックチェーンを活用した音楽作品管理の実証実験

日本音楽著作権協会(JASRAC)が2月から3月にかけて、音楽作品情報の登録や共有について、ブロックチェーンを用いて管理を行う実証実験を実施することを発表した。

2018年には、ブロックチェーンを活用した著作物の使用料におけるのデータ管理等に関する検証を行っており、2019年10月からは、音楽作品に関するデータについて、信頼性や透明性を高めることや、データ流通のプロセスの効率を高めることで、権利者に対する著作物の使用料分配について、より正確で信頼できるものにすることを目的として、ブロックチェーンを使用した実験を行っていた。

今回の実証実験については、2月17日から3月13日までの期間で、関連会社(JASRACに著作物の管理を委託している音楽関連事業者等)の協力の元実施される予定である。

実証実験の概要

権利者が利用することを想定した、「デジタルコンテンツのハッシュ値」、「創作者のID」、「時刻証明情報」を作品ごとにまとめて記録可能なブロックチェーン基盤とアプリの開発を行い、これに記録する各音楽作品情報にメタデータを追記する。

実証実験に使うブロックチェーン基盤やWebアプリケーションなどのシステムはソニーが構築するとのこと。

※メタデータとは、本体であるデータに関する付帯情報が記載されたデータです。「データのためのデータ」と説明されることもあります。

出典:JASRAC プレリリース

ここで生成された情報記録について、例えば権利者がJASRACに閲覧・追記の権限を与えることによって、効率的な情報共有や各種申請手続きの簡素化が期待される。

JASRACは、今後もブロックチェーンを活用した実証実験を通じて、著作物管理における信頼性や透明性を向上させ、より効率的な管理を図り、作詞者・作曲者、音楽出版社等の権利者への対価還元の質・量を高めることで、音楽業界の発展に寄与したいとしている。

また、今回の実験結果を踏まえて、今後他業務へのブロックチェーンの活用の拡大についても検討していくという。

JASRACと音楽教室の著作権訴訟

JASRACは2017年2月、演奏権を根拠にして、「音楽教室で演奏される楽曲についても著作権料を徴収する」という方針を発表したことは、大きな話題となりました。

17年6月に音楽教室側はJASRACに対し、著作権料を徴収する権利がないことを確認する訴訟を東京地裁に提起しました。そして、東京地方裁判所が2020年2月28日午後1時30分に判決を言い渡すことが明らかになった。

当時、JASRAC理事長はインタビューにて「使用料を徴収して、権利者にお金が回ることが新しい作品を生む」と答えている。JASRAC側のやり方、主張に批判の声も多数上がっていたが、当時からJASRACの著作権に関する考え方には一貫性があるともいえる。

この判決が今後の日本の音楽教育のみならず著作権法の行方を左右する大きなターニングポイントなるのではないでしょうか。