Google、量子コンピュータが世界初「量子超越性」を実証!特定の計算でスパコン超え!

Google、量子コンピュータが世界初「量子超越性」を実証!特定の計算でスパコン超え!

Google、量子コンピュータが世界初「量子超越性」を実証!特定の計算でスパコン超え!

米Googleは23日、量子コンピュータの計算能力が、スーパーコンピュータなど従来型のコンピュータを上回る事を示す「量子超越性」を実証したと発表した。英科学誌「Nature」に論文が掲載された

量子超越性に関しては当初、2018年1月に発表した72量子ビットを搭載する量子プロセッサー「Bristlecone(ブリストルコーン)」で実証するとしていたが、実験が難航したことから「Sycamore(シカモア)」に切り替えた。

そして、Googleは今回53個の量子ビットを搭載する量子プロセッサ「Sycamore」を開発し、乱数を生成する「ランダム量子回路サンプリング」という問題を量子コンピュータに解かせた。

この問題は、最先端のスーパーコンピュータでは同様の問題を解くのに約1万年を要するとされるが、Googleの量子コンピュータは3分20秒で解いたという。

特定の問題では、従来型のコンピュータよりも計算能力が高い事を実証したとしている。

一般的なコンピュータは情報を1か0のビットで表現するが、要するに「Yes」と「No」、「ON」と「OFF」を組み合わせて論理的な課題をこなしている。

その一方、量子コンピュータは「量子ビット(qubit)」と呼ばれる情報単位を用いて、0と1だけでなく、その両方を重ね合わせた状態を表現でき、より多くの値を扱える。

その為、十分なビット数があれば、従来のコンピュータでは現実的な時間で計算しきれない問題を短時間で解けるようになると理論的には示されている。

しかし、実際にハードウェアを実装していくには様々な課題があり、開発作業は難航してきた為、これまで量子超越性が実証された事例はなかった。

GoogleのCEOであるサンダー・ピチャイは発表文で以下のように述べている。

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出典:Google

「今回のブレイクスルーによって、効率的なバッテリーの開発や、少ない消費エネルギーで肥料を化学合成する手法の開発、新しい医薬品の開発など、量子コンピューターの実用化に一歩近づく事になった」

これを受け、21日にGoogleと同じく53量子ビットの量子コンピュータ「IBM Q」を開発している米IBMが反論。Googleが性能比較に用いた計算問題は、従来型のコンピュータだと約2日半で解けるなどと指摘していた。

IBMは今回、Googleに対して技術的な懸念を表明する上で挑発的ともいえる手法を選んだ。

しかし、IBMに在籍するトップクラスの量子研究者のジェイ・ガンベッタ氏は、IBMの動機はGoogleを敵に回す事ではなく、「量子超越性」という用語への無益な期待をなくしていく事にあるという。

「量子コンピューティングは重要な技術であり、コンピューティングの方法を変えるはずです」

「もう大げさに語るのはやめて、量子コンピューティングのロードマップにフォーカスしていきましょう」

Googleは量子超越性の実証により、同分野でのライバル企業に大きなリードをつけたことにもなるが、IBMもすぐ後ろに迫っているのも事実。

海外のブログにはこの発表をライト兄弟の初飛行に例えている。それは量子コンピュータの歴史における大きな一歩であると言えるだろう。今後のさらなる発展に注目が集まります。